ぽちっとバイブル 第35回『善いサマリア人』
- pochittobible
- 2020年8月28日
- 読了時間: 3分
📖聖書箇所
(新)ルカの福音書10:25~37
🎨「聖サマリア人の寓話」
サミュエル・ニクソン作
(英)1840年
(Wikipediaより)
今回は、『善いサマリア人』のお話です。ある律法の専門家が、イエスを試そうとして自分の隣人は誰かと質問した時のことです。
『イエスは答えられた。
「ある人が、エルサレムからエリコへ下って行ったが、強盗に襲われた。強盗たちはその人の着ている物をはぎ取り、殴りつけ、半殺しにしたまま立ち去った。たまたま祭司が一人、その道を下って来たが、彼を見ると反対側を通り過ぎて行った。同じようにレビ人も、その場所に来て彼を見ると、反対側を通り過ぎて行った。ところが、旅をしていた一人のサマリア人は、その人のところに来ると、見てかわいそうに思った。そして近寄って、傷にオリーブ油とぶどう酒を注いで包帯をし、自分の家畜に乗せて宿屋に連れて行って介抱した。次の日、彼はデナリ二枚を取り出し、宿屋の主人に渡して言った。
『介抱してあげてください。もっと費用がかかったら、私が帰りに払います。』
この三人の中でだれが、強盗に襲われた人の隣人になったと思いますか。」
彼は言った。
「その人にあわれみ深い行いをした人です。」
するとイエスは言われた。
「あなたも行って、同じようにしなさい。」』
ルカの福音書 10:30~37
ほとんどの方が、この話の登場人物の誰かに当てはまる経験をお持ちではないでしょうか?
レビ人というのは、ユダヤ12族長のひとりレビの子孫のことです。
(参考:ぽちっとバイブル第11回、ぽちっとBプラスNo.2)
祭司は、レビ人の中でも、特に、出エジプト記に出てくるモーセの兄アロンの子孫で、礼拝を司る人々です。その他のレビ人は神殿での祭儀の奉仕を行う人々でした。
サマリア人については、ぽちっとBプラスNo.17で説明していますので、どうぞ参照ください。
🐶ぽちっとひとこと
イエスがここで話している相手は、イエスを試そうとした律法の専門家です。神の言葉に詳しい人物で、自分の知識に自信があったようです。
この箇所の前の9章に、次のようなことが書かれています。(注:ルカの福音書は時系列で書かれていると考えられています。)
『しかし、イエスが御顔をエルサレムに向けて進んでおられたので、サマリア人はイエスを受け入れなかった。』
ルカの福音書 9:53
善いサマリア人の話は10章ですから、そのすぐ前の出来事として、サマリア人がイエスを歓迎しなかったことがわかります。それでも、イエスは困っている人をかわいそうに思うイエス自身を投影させた登場人物としてサマリア人を用いました。
サマリア人とユダヤ人の不仲な関係を考えると、イエスを試そうとして質問した律法の専門家に対する教訓として、とても強烈だったことが想像できます。そのようにして、イエスは、隣人を愛することは、心からの行いを伴うことを教えられたのです。
そして後には、祭司や律法学者、そしてサマリア人たちの中からもイエスを信じる人々が出てきたことがわかります。
(参照箇所:使徒の働き8:7、8:14、テトスへの手紙3:13)
このように、聖書を少し広い範囲で眺めると、シンプルに見えるストーリーにもいろいろな背景があることがわかりますね😀!
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
参考文献
聖書協会共同訳聖書 用語解説
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