世界史の中のエステル記 [エステル記]
- pochittobible
- 2020年5月22日
- 読了時間: 3分

ぽちっとバイブル 第22回
📖聖書箇所 (旧)エステル記
🎨「ハマンを非難するエステル」
アーネスト・ノーマンド作 1888年
北のイスラエル王国が滅亡し、南のユダ王国もバビロンに滅ぼされて、多くの人々が捕虜として強制移住させられるバビロン捕囚の後、バビロン(新バビロニア)は、やがて台頭してきたアケメネス朝ペルシアに滅ぼされます。エステル記はそのペルシアの時代の話です。
両親を亡くし、いとこのモルデカイに育てられたユダヤ人の娘エステルは、自分がユダヤ人であることを隠し、ペルシア王クセルクセス1世(在BC485-465)の王妃となります。ユダヤ人を憎む高官ハマンは、国中のユダヤ人を滅ぼす命令を出すよう、王を説得します。
その時、モルデカイがエステルに伝えた言葉です。
『もし、あなたがこのようなときに沈黙を守るなら、別のところから助けと救いがユダヤ人のために起こるだろう。しかし、あなたも、あなたの父の家も滅びるだろう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない。』
エステル記4:14
王に寵愛されていたエステルは命をかけて、王に自分の民族を明かし、助けを求めます。その結果、ハマンは退けられ、ユダヤ人は絶滅から救われました。
普通の娘が王妃になるというシンデレラストーリーに思えますが、紀元前のこの時代から、ユダヤ人絶滅の思想があったことに驚きますね。
🐶ぽちっとひとこと
エステルが王妃になったのは、アケメネス朝ペルシア時代で、場所は今のイランに当たります。全盛期には、エーゲ海沿岸からインダス川流域、そして、現イスラエルを経てエジプトまでの広大な地域を支配しました。
エステル記以前のペルシア王キュロスは、
『ペルシアの王キュロスは言う。「天の神、主は、地のすべての王国を私にお与えくださった。この方が、ユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てるよう私を任命された。」』
(旧)エズラ記1:2
と言って、捕囚のユダヤ人に、エルサレムに帰って、神殿を建ててよいと許可し、その様子を描いたのが、「エズラ記」です。このエズラ記の話の途中で起こった事がエステル記の出来事と考えられています。モルデカイやエステルは、エルサレムに帰還しなかったユダヤ人たちだったのです。
この時、ユダヤ人が絶滅させられたなら、神の計画=ユダヤ人(イスラエル人)が全世界を祝福するために用いられる、その子孫から永遠の王国を治める王が出るという契約を実行する計画があぶなくなるところでした。
その後、「ネヘミヤ記」に書かれたエルサレム城壁の建設がなされるということに、歴史は続いていきました🙂
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
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