ぽちっとBプラス No.53『ヘロデ王について整理してみました』
- pochittobible
- 2021年7月30日
- 読了時間: 3分
『ヘロデは、博士たちに欺かれたことが分かると激しく怒った。そして人を遣わし、博士たちから詳しく聞いていた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯の二歳以下の男の子をみな殺させた。』
マタイの福音書 2:16
恐ろしい出来事が起こっています。ヨセフとマリアとイエスは、主の使いがヨセフに現れてこのことを伝えたため、エジプトに逃れて無事でした。
『実は、以前このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロディアのことでヨハネを捕らえて縛り、牢に入れていた。』
マタイの福音書 14:3
ここにもヘロデが出てきています。このヨハネは、バプテスマのヨハネのことです。
どちらの聖書箇所からも、ヘロデという人物が恐ろしい性格の持ち主であることがわかります。聖書には、何人かのヘロデが登場しますので、どういう人物なのか、整理してみました。
新約聖書の時代以前の歴史を確認してみます。バビロン捕囚を行った新バビロニアは、ペルシアに滅ぼされ、そのペルシア(アケメネス朝)はアレクサンドロス大王のギリシャに滅ぼされました。ギリシャの後、イスラエルは最初プトレマイオス朝エジプト、後に、セレウコス朝シリアの支配下に入りますが、その圧政に耐えかねたユダヤ人たちは、マカベアの反乱を起こし、独立します。ハスモン朝(BC167~BC63年)の成立です。
しかしながら、その独立も長続きせず、BC63年にはローマの将軍ポンペイウスにより、イスラエルはローマ帝国の一部に組み入れられます。その時、イドマヤ人(エサウの子孫であるエドム人の別名)であるアンティパテルがユダヤの支配者になります。その跡をついだのが息子のヘロデ大王であり、陰謀と策略によってユダヤの王(在位BC37~AD4)となったのでした。

バプテスマのヨハネが処刑され、イエスが十字架にかけられた時のヘロデ王は、ヘロデ大王の息子のヘロデ・アンティパスです。十二弟子のヤコブを殺害し、ペテロを捕らえたのは、その息子のヘロデ・アグリッパ1世であり、パウロが弁明した時の王は、ヘロデ・アグリッパ2世でした。
このように整理してみると、聖書の記載が歴史的事実に沿っていることがわかると同時に、ヘロデの一族がイエスとイエスを信じる人々に敵対していたことがわかります。
『その後、イエスは町や村を巡って神の国を説き、福音を宣べ伝えられた。十二人もお供をした。また、悪霊や病気を治してもらった女たち、すなわち、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラの女と呼ばれるマリア、ヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの女たちも一緒であった。彼女たちは、自分の財産をもって彼らに仕えていた。』
ルカの福音書 8:1~3
『さて、アンティオキアには、そこにある教会に、バルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、クレネ人ルキオ、領主ヘロデの乳兄弟マナエン、サウロなどの預言者や教師がいた。』
使徒の働き 13:1
これらの箇所からは、ヘロデ一家の周囲にも、神の国の福音が届いていたことがわかり、イエスの教えの力強さを感じますね。
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
参考文献:
『新聖書ハンドブック』ヘンリー・H・ハーレイ著(いのちのことば社)
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