ぽちっとBプラス No.48『ダビデを助けたヨナタン』
- pochittobible
- 2021年5月21日
- 読了時間: 3分
ポール・ギュスターヴ・ドレ作
ダビデの生涯を見ると、周囲に助けとなる人物が何人もいたことがわかります。中でも、ヨナタンは、ダビデの前半生で大きな役割を果たします。
ヨナタンは、イスラエルの初代サウル王の息子で、王位継承者でした。ところが、ダビデがペリシテ人ゴリアテを打ち負かした時、聖書には次のようなことが書かれています。
『ヨナタンは、自分自身のようにダビデを愛したので、ダビデと契約を結んだ。ヨナタンは着ていた上着を脱いで、それをダビデに与え、自分のよろいかぶと、さらに剣、弓、帯までも彼に与えた。』
サムエル記 第一 18:3~4
ヨナタンが自分のよろいかぶと、剣、弓、帯をダビデに与えた行為は、自分ではなく、ダビデがサウルの後継者となることを表しているとも言えることでした。
ダビデが異民族との戦いに勝利を重ねるにつれ、サウル王はねたみ、命を狙うようになり、ダビデは逃亡せざるを得なくなりました。そんな状況になっても、ヨナタンはダビデの命を守るため、改めてダビデと契約を結んで、次のように語っています。
『もし父が、あなたに害を加えようと思っているのに、それをあなたの耳に入れず、あなたを無事に逃がさなかったなら、主がこのヨナタンを幾重にも罰せられますように。主が父とともにおられたように、あなたとともにおられますように。もし私がこれ以上生きるべきではないのなら、あなたは、主の恵みを私に施して、私が死ぬことのないようにする必要はありません。しかし、あなたの恵みを私の家からとこしえに断たないでください。主がダビデの敵を地の面から一人残らず断たれるときにも。」
ヨナタンはダビデの家と契約を結んだ。
「主がダビデの敵に血の責めを問われますように。」
ヨナタンは、ダビデに対する愛のゆえに、もう一度ダビデに誓わせた。ヨナタンは、自分を愛するほどにダビデを愛していたからである。』
サムエル記 第一 20:13~17
まるで、ヨナタンは自分が長く生きられないと悟ったかのような言葉です。実際に、イスラエルの宿敵ペリシテ人との戦いで、ヨナタンは、自分の兄弟と共に戦死し、同じ戦いで傷を負ったサウル王も悲劇的な死を迎えることが、サムエル記第一の最後の31章に書かれています。
ヨナタンは決して軟弱な人物ではありませんでしたが、神を信じ、自分の立場に執着することのない高潔な人物だったようです。
この後、ダビデは全イスラエルの王となっていきますが、ダビデの王位が確立した後、次のようなことをしています。
『ダビデは言った。
「サウルの家の者で、まだ生き残っている人はいないか。私はヨナタンのゆえに、その人に真実を尽くしたい。」』
サムエル記 第二 9:1
そして、ヨナタンの息子で足の不自由なメフィボシェテがいることがわかり、呼び寄せます。
『ダビデは言った。
「恐れることはない。私は、あなたの父ヨナタンのゆえに、あなたに恵みを施そう。あなたの祖父サウルの地所をすべてあなたに返そう。あなたはいつも私の食卓で食事をすることになる。」』
サムエル記 第二 9:7
ダビデはヨナタンとの契約を忘れず、ヨナタンの子孫を大切に扱ったことがわかります。
このように、聖書の主な登場人物を取り巻く人々に注目するのも、また、聖書の楽しみですね。
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
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