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ぽちっとBプラス No.47『王国成立の不思議』


サムエル記第一の最初では、サムエルが預言者として神に仕え、そして、最後の士師としてイスラエルの人々を導いていました。ところが、人々は次のようにサムエルに言います。


『イスラエルの長老たちはみな集まり、ラマにいるサムエルのところにやって来て、

彼に言った。

「ご覧ください。あなたはお年を召し、ご子息たちはあなたの道を歩んでいません。どうか今、ほかのすべての国民のように、私たちをさばく王を立ててください。」

彼らが、「私たちをさばく王を私たちに与えてください」と言ったとき、そのことばはサムエルの目には悪しきことであった。それでサムエルは主に祈った。主はサムエルに言われた。

「民があなたに言うことは何であれ、それを聞き入れよ。なぜなら彼らは、あなたを拒んだのではなく、わたしが王として彼らを治めることを拒んだのだから。」』

サムエル記 第一 8:4~7


人間の王を求めることは、神が王としてイスラエルを治めることを拒むことだと神自身が言っていますが、同時にそれを聞き入れるようにとも言っています。そして、初代イスラエルの王、サウルが立てられることになりました。


ところが、この時代以前に次のようなことが語られています。


『神はまた、彼に仰せられた。「わたしは全能の神である。生めよ。増えよ。一つの国民が、国民の群れが、あなたから出る。王たちがあなたの腰から生まれ出る。」』

創世記 35:11


これは、神がヤコブの名前をイスラエルにすると語られた時に、同時に言われた言葉です。王がヤコブの子孫から生まれることを言っています。


『王笏(おうしゃく)はユダから離れず

統治者の杖は足の間から離れない。

シロが来るときまで、もろもろの民は彼に従う。』

創世記 49:10

(聖書協会共同訳)


これは、ヤコブが最期の時に息子たちに預言した中の、特にユダに対して語った言葉です。ユダの子孫がイスラエルの王となることを示唆しています。そして、ダビデ王によってそのことは成就します。


『あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地に入って行って、それを占領し、そこに住むようになったとき、あなたが「周りのすべての国々と同じように私も自分の上に王を立てたい」と言うなら、必ず、あなたの神、主が選ばれる者をあなたの上に王として立てなければならない。あなたの同胞の中から、あなたの上に王を立てなければならない。』

申命記 17:14~15


これは、モーセが出エジプトした後に、イスラエルの人々に語った言葉です。王について指示しています。この箇所の続きでは、王のあるべき姿についても具体的に述べています。


『主は、あなたと、あなたが自分の上に立てた王とを、あなたも、あなたの先祖たちも知らなかった国に行かせる。あなたはそこで木や石の、ほかの神々に仕える。』

申命記 28:36


これは、同じくモーセの言葉ですが、人々が神に聞き従わず、神の命令とおきてを守り行わないなら、外国に捕らわれていくということを語っている箇所です。このことは、実際にバビロン捕囚として実現しました。


このように見てくると、神は、はるか以前からイスラエルの人々が王を立てたいと願うことをご存じで、その通りに王が立って王国となること、けれども捕囚によって王国が無くなることをもすでに語り続けてこられたことがわかります。


同時に、上に挙げた創世記49:10の『シロが来るときまで、もろもろの民は彼に従う。』では、救い主を指す“シロ”、つまり、イエス・キリストがユダの子孫から出てきて、イスラエル人だけではなく、諸国の民、つまり世界中の人々がキリストに従う時が来ると預言しているのです。


こうして見てくると、神は人々が神を拒んだかのようなことがあっても、それをご存じの上で、ご自身の計画を進め、神に従う人々を不完全であっても用い、そうして、歴史を創っておられるように思われます。何とも不思議なことですね。


聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会


参考文献:

『ファイヤーバイブル注解付聖書』(ライフパブリッシャーズ)

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