『旧約聖書と新約聖書の間の400年』
- pochittobible
- 2020年6月5日
- 読了時間: 3分

ぽちっとバイブル 第24回
📖聖書箇所
(旧)マラキ書4:5~6
「預言者マラキ」
ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ作 1310年頃
旧約聖書の最後は、マラキ書です。預言者マラキは、BC450~400年頃、エズラやネヘミヤと同じ時期に活動したと考えられています。
それから新約聖書の世界が始まるまで、約400年間のブランクがあります。その間、政治的・文化的・宗教的な変化がありました。どのような変化だったのか、簡単に見ていきましょう。
まず、アケメネス朝ペルシア(BC550-BC330)によって、ユダヤ人(=イスラエル人)が捕囚から解放され、エルサレムに戻り、神殿や城壁を建設したことがエズラ記・ネヘミヤ記に書かれていました。
その後、イスラエルは、アレクサンドロス大王のマケドニア、エジプト(プトレマイオス朝)、シリア(セレウコス朝)に次々と支配されました。シリア支配下の時に、ユダヤ人の反乱が起こり(マカベア戦争BC166-BC142)、しばらく独立します(ハスモン朝)。そして、BC63年よりローマ帝国に支配されました。
アレクサンドロス大王の活躍以来、ギリシア文化と周囲のオリエント文化が混ざり合った文化をヘレニズムと呼び、BC300年頃からの300年間をヘレニズム時代と言います。ですから、当時の地中海沿岸地域では、ギリシア語が共通語となりました。それがローマ帝国時代にも引き継がれていきます。ですので、新約聖書はギリシア語で書かれました。(旧約聖書は主にヘブル語です。)
また、ヘレニズム文化の影響に危機感を覚えたユダヤ人たちは、自分たちの律法と伝統をどのように守るべきかを研究し、この時代に律法学者が現れ、新約聖書に出てくるパリサイ人やサドカイ人などのグループが現れることになりました。
広大な地域を支配する国の出現によって、ユダヤ人たちも政治的に、または、通商貿易のために近隣諸国に移住していきました。そして、それぞれの町にシナゴーグ(会堂)を作り、礼拝していました。
🐶ぽちっとひとこと
『見よ。わたしは、主の大いなる恐るべき日が来る前に、預言者エリヤをあなたがたに遣わす。彼は、父の心を子に向けさせ、子の心をその父に向けさせる。それは、わたしが来て、この地を聖絶の物として打ち滅ぼすことのないようにするためである。』
マラキ書 4:5~6
先週のぽちっとBプラスで紹介したマラキ書最後の言葉ですが、“父の心を子に向けさせ、子の心をその父に向けさせる”とは、父なる神の心が、神の子どもである神の民に向くという神の愛を約束した言葉でもあります。
そして、原語のヘブル語や英語での最後の言葉は、“のろい”(curse)となっています。(新改訳聖書2017では、イメージとして“聖絶の物”に当たるでしょうか。) メシア(=キリスト、救い主の意味)が来られなければ、人類は“のろい”を持って打ち滅ぼされるところでした。
来週からぽちっとバイブルも新約聖書のストーリーに入ります。メシアであるイエスの誕生から始まる新約聖書の世界をお楽しみに!!
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
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